前回の記事で、私は29歳のとき、7年間続けていた「営業職」を二度とやらないと決意したお話をしました。
自分をすり減らさないために、やりたくないことを手放す。これは私の心を守るための大正解の決断でしたが、ここで一つ大きな問題に直面します。
「未経験の職種に変えたら、普通は年収が下がってしまうのではないか?」という疑問です。
結論から言うと、私は職種をガラリと変えながらも、年収を下げずに資産1億円の原資を作ることができました。今回は、その具体的な転職戦略を分かりやすくお話しします。
【結論】稼げる「業界」に身を置き、職種を変える
未経験の仕事に挑戦しながら年収を維持する、むしろ上げていくためのルールはシンプルです。
「平均年収の高い業界を選ぶこと」、そして「業界と職種を同時に変えないこと」です。
世の中の給料水準は、個人の能力よりも「どの業界に身を置いているか」でその大半が決まってしまいます。給与水準が低い業界でどれだけ努力をしても、高い業界の平均年収に追いつくのは非常に難しいのが現実です。
だからこそ、転職をするときは「業界」か「職種」のどちらか片方だけを動かす「ずらし転職」が鉄則になります。両方を一気に変えてしまうと、完全な「未経験者」として一からの出発になり、年収が大きく下がってしまうからです。
私の経験談:金融の土台で、営業から「データ整備・利活用」へ
私は大学を卒業してから今まで、一貫して給与水準が比較的高めな「金融業界」一筋でキャリアを歩んできました。この業界の軸(土台)は絶対に固定したまま、自分をすり減らしていた「職種」の軸だけを、次の2ステップで横にずらしていきました。
ステップ1:営業から「事務企画」へ
最初に飛び込んだのは、同じ金融業界の中の「事務企画」という職種です。社内の事務効率化やシステム導入を企画する仕事で、営業時代のような数字のプレッシャーや他人の機嫌取りから解放されました。ここで私は、徹底的にロジック(論理的思考)で勝負する基盤を身につけました。
正直、決して楽ではなく、ここではかなり苦労しました。全くやったことがない分野で結果を出すために、自分でツールを作るためにコードやデータベースの基礎も学びながら、次々と企画を立案しました。立案した企画は自分で全て手がけることで周りを巻き込む力も身につきました。ツールは、自分で作りました。今振り返っても、あの頃は大変だったなと思います。
しかし、これまで嫌な仕事ばかりしてきたためか、嫌ではない仕事での苦労はとても楽しく、次々と成果も出て不思議ととんとん拍子でうまくいき、年収も上がっていきました。
ステップ2:事務企画から「データ整備・利活用」へ
仕組み化の経験を積む中で、次なる時代の波である「データの利活用」に着目しました。事務企画で培った力をベースに、会社が持つ膨大なデータを整備して経営に活かす「データ戦略」のポジションへと、さらに職種を尖らせていったのです。
「金融業界」という高いプラットフォームの上で、「データ利活用×企画」という市場から求められる希少なスキルを掛け合わせた。これが、私の転職のリアルな中身です。
この経験から学んだ2つのこと
この「ずらし転職」を通じて、私はキャリアにおいて極めて重要な2つの教訓を学びました。
① 苦手を手放すから、強いスキルが育つ
1つ目は、やりたくないこと(営業)を徹底的に切り捨てて空いたエネルギーを、時代に求められるスキルの習得に一点集中できるということです。
もし私が、あのまま嫌いな営業を無理して続け、プレッシャーに脳のリソースを奪われ続けていたら、未知の分野だったデータベースの勉強や企画立案に取り組む心の余裕なんて絶対にありませんでした。「嫌ではない苦労」にエネルギーを注げたことこそが、成長の原動力になったのです。
② 「データ利活用×企画」で、会社が手放したくない希少な人材になる
2つ目は、スキルの掛け合わせによる希少価値の向上です。世の中には「データを分析できる人」や「企画を立てられる人」はそれぞれ存在しますが、「データ整備・利活用の知識を持ち、それを会社の仕組みに落とし込める企画力もある人」は滅滅にいません。
この2つの掛け算ができるようになると、会社にとって「絶対に手放したくない唯一無二の存在」になります。そして、社内でそれだけ必要とされる存在になれるスキルは、結果として一歩外に出たときの「市場から圧倒的に求められる人材(市場価値の高さ)」へとそのまま直結していました。これが、確実にお給料をキープしながらステップアップできた本質です。
あなたにも、苦手ではないことで社会に求められているスキルがきっとあるはずです。それを複数掛け合わせることで、きっとあなたは希少な人材になることが出来ます。
まとめ:あなたの「嫌だ」を羅針盤に、軸をずらしてみよう
ただ「今の仕事が辛いから」と、何の戦略もなく業界も職種も変える転職をしてしまうと、一からのスタートになって年収が下がり、また同じように消耗してしまうリスクがあります。
大切なのは、以下のステップで自分のキャリアをデザインすることです。
- お給料のベースが高い「業界の軸」を味方につける
- 業界か職種、変えるのは「どちらか片方だけ」にして一からの出発を防ぐ
- 空いたエネルギーを、会社や市場から手放したくないと思われる「希少なスキル」へ投資する
あなたの「これが嫌だ」という感情は、次に進むための大切な羅針盤です。まずは自分が無理なく動かせる「業界」や「職種」のバランスについて、考えてみませんか?
思考が変われば、あなたのキャリアの難易度は、驚くほどガラリと変わります。
大切なのは、きちんと方針を立て、正しい努力をすることです。
毎日少しずつ、積み上げていきましょう。


コメント